ガッシュ文庫「きっと甘いくちづけ」感想   

2008年 03月 19日

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きっと甘いくちづけ 柊平ハルモ イラスト:小路龍流 ガッシュ文庫

 身寄りのない譲葉が援助とひきかえに与えられた仕事は、代議士秘書・統一郎の世話をすること。それは夜の世話まで…つまり「愛人」。譲葉は一生懸命役目を果そうとするが、甘美な夜を重ねるうちに、時折感じられる統一郎の優しさに触れ、彼の腕に抱かれることをこのうえなく幸せに思うようになっていく。だけど、譲葉は気づいてしまう。統一郎がけっしてくちびるには触れてくれないことに。好きな人と交わすくちづけはどんなにか甘いだろう…。しかし、思いがけず統一郎の過去を知り、彼を好きでいてはいけないということに気づいた譲葉は―――。


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 数年前に他社から発行した作品を改稿し番外編も加筆してあります。回数や分量に目安のあったレーベルさんだったそうですから、結構Hシーンが多目ですね。ラブラブです。

 代議士の息子の統一郎が彼女にフラレて荒れた生活をしているから、彼を落ち着かせようと父親が送り込んだ「愛人」が高校生の譲葉でした。男の愛人なら妊娠の心配もなく、統一郎の結婚が決まったら後腐れなく別れられるから――という理由で。
 無垢で感じやすい譲葉に統一郎は結構最初からメロメロです。そして「坊ちゃん」なせいかロマンチストです。愛人として譲葉の体は統一郎が最初に奪ってしまったけれど、ファースト・キスだけは将来本当に好きになった人の為にとっておいてやろうとガマンしちゃったりしてます。
 統一郎の方は譲葉が好きなんだと自覚してから、「坊ちゃん」から「男」として成長してきてイイ感じ。守りたいものが出来ると変わるってヤツか。でも譲葉が自分に優しくしてくれているのは「愛人」としての仕事の一つだからじゃないか? と、お約束の悩みを抱えてしまいます。

 笑える…というか微笑ましいのが、統一郎がセックスの後に自室に戻ってしまう譲葉に「一緒のベッドで寝たい」と持ちかけるトコロ。
―――気恥ずかしさの余り、セルフ羞恥プレイを敢行しているような気持ちになった――ですよ。統一郎もイイ大人ですからねぇ。「一緒に寝よう」とは言いにくいかも知れませんね。

 あらすじを読むと譲葉が最初は愛人だったのに、統一郎を本気で好きになってしまってどうしようって凄い悩んでドロドロか? とか思っていたのに、読んでみると譲葉は明確に統一郎が好きだと自覚していたワケじゃなくて、なんとなく統一郎が元カノと縒りを戻したんじゃないか―――と勘違いしてモヤモヤとして、統一郎と元カノが一緒に居るところを見たくない…と家出しようとして…って感じ。

 譲葉は孤児院で育ちました。その院の経営が苦くなって閉鎖直前のところを統一郎の父の援助で免れたのです。でもその援助の条件が統一郎の「愛人」でした。でも譲葉はそんな境遇を悲観することなく、感謝をもって健気に尽くします。

 結末は譲葉と統一郎が相愛になってキスし放題。いままで我慢していた分を取り返す勢い。その勢いのままに統一郎は譲葉にプロポーズめいた願いを口にします。
「ちゃんと考える。親父に反対されても、お前を守る方法を。だから…どうか全部俺にください…」
「全部もらって」

 やっぱり私はハッピーエンドが大好きですから。
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by saigakuji_x20a | 2008-03-19 23:53 | 小説 | Comments(0)

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